こんにちは。宝塚カイロプラクティックの一色です。今日は面談の合間にこのページを書いています。診察室でよくお聞きするのが、電話や会議の場面で言葉がうまく出てこなくて、上司にそのことを伝えるべきか迷っているというお悩みです。
ひとりで抱え込んでいる方が本当に多いなと感じています。もし今、まさに吃音障害のことで職場に伝えるべきか迷っているなら、この記事がその判断の助けになるはずです。
伝えるか伝えないかに正解はありませんが、判断するための材料はしっかりあります。一緒に整理していきましょう。


吃音を打ち明けるかどうかで眠れない夜を過ごしている方へ、まずは判断のヒントをお届けします
吃音を職場に伝えるかどうかで悩む理由
まず知っておいていただきたいのは、こうした悩みを抱えているのはあなただけではないということです。当院にも同じような悩みを抱えて来院される方が数多くいらっしゃいます。
悩みの根っこには共通するパターンがあります。ここではその背景を一緒に見ていきましょう。
電話対応の場面で名前がうまく言えなかったり、会議で発言しようとした瞬間に言葉が止まってしまったり。日常の何気ない一場面が、実はとても大きなプレッシャーになっている方が多いんですね。
話し方そのものよりも「うまく話せなかったらどう思われるだろう」という予測不安が、症状をさらに強くしてしまうことがあります。
そして厄介なのが、伝えることにも伝えないことにも、それぞれ理由があるという点です。伝えれば楽になるかもしれないけれど評価が下がるかもしれない。
伝えなければ楽ではないけれど、これまでのやり方を守れる。どちらを選んでも一定の不安が残るからこそ、答えが出ないまま時間だけが過ぎてしまうのだと思います。
「伝えたら評価が下がるかもしれない」という不安の正体
この不安は決して大げさなものではありません。実際に、話し方が流暢かどうかで能力を判断されてしまう場面は、残念ながら今の社会にまだ存在しています。
ただ、ここで大事なのは、その不安の多くは「起こるかもしれない未来」であって「必ず起こる現実」ではないという点です。頭の中で不安がどんどん大きくなっていくのは、脳が危険を先読みしようとする自然な働きでもあります。
まずはその仕組みを知ることが、次の一歩につながります。
吃音を伝えるかどうかを判断するための3つの軸
では実際に、何を基準に判断すればいいのでしょうか。私が患者さんとお話しする中でお伝えしているのは、大きく3つの軸で考えるという方法です。感覚だけで決めるのではなく、少し客観的に整理してみると、意外と答えが見えてくることがあります。
- 今の仕事内容で、話す場面がどれくらいの頻度・重要度で発生するか
- 今の職場が、そもそも困りごとを相談しやすい雰囲気かどうか
- 伝えないままでいることで、自分の心と体にどれくらい負担がかかっているか
この3つを順番に見ていきましょう。特に3つ目の「自分の心と体への負担」は見落とされがちですが、実はもっとも大切な判断材料になります。
話す場面の頻度と重要度で考える
電話対応や接客、会議での発言が業務の中心である場合、症状が仕事の成果に直結しやすくなります。一方、資料作成やデータ入力など、話すこと自体が業務の一部にとどまる場合は、無理に伝える必要性が少し下がるケースもあります。
まずは自分の一日の業務の中で、話す場面がどれくらいの割合を占めているのかを書き出してみることをおすすめします。
相談しやすい職場かどうかを見極める
上司や同僚が普段から困りごとに耳を傾けてくれるタイプかどうかも、大きな判断材料です。もし今の職場が「弱みを見せると評価が下がる」という空気の強い環境であれば、伝えるタイミングや伝える相手を慎重に選ぶ必要があります。
産業医や社内の相談窓口があれば、まずそちらに相談してみるという方法も一つの選択肢です。
心と体への負担を最優先で考える
ここが今日いちばんお伝えしたいポイントです。伝えるかどうかを迷っているうちに、緊張や不安を抱え続けることで自律神経のバランスが乱れ、症状そのものが悪化してしまうケースが少なくありません。
眠れない、朝から胃が痛い、電話が鳴るだけで動悸がする。こうした状態が続いているなら、それはもう「性格の問題」ではなく、体からのはっきりとしたサインです。
伝える場合・伝えない場合、それぞれに起こりうること
判断の軸が見えてきたところで、実際に伝えた場合と伝えなかった場合で、どんなことが起こりやすいのかを整理しておきましょう。良い面も難しい面も、両方知っておくことで納得感のある選択ができます。
| 選択 | 起こりやすい良い変化 | 起こりやすい難しさ |
|---|---|---|
| 伝える | 電話免除やチャット活用などの配慮を受けやすくなる、うまく話そうとする過度な緊張が和らぐ | 一時的に気まずさを感じる、理解が得られるまで時間がかかる場合がある |
| 伝えない | これまでの評価や関係性をそのまま保てる | 不安を一人で抱え続けることになり、症状が長引きやすい |
この表を見て気づいていただきたいのは、伝える・伝えないのどちらにも一長一短があるということです。「絶対に伝えるべき」「絶対に伝えなくていい」という一律の正解はないので、自分の状況に合わせて選んでいただいて大丈夫です。
伝えるタイミングに悩んだときの考え方
面接時、入社直後、症状がつらくなったとき。どのタイミングにもそれぞれの利点があります。早めに伝えておけば最初から誤解されずに済みますし、後から伝えても「今だからこそ相談したい」という形で受け止めてもらえることも多いです。
焦って決める必要はありませんが、ため込みすぎて心身が限界を迎える前に、どこかのタイミングで一度言葉にしてみることをおすすめしています。
判断に迷う根本には、体と心のコンディションが関わっている
ここまで職場での伝え方について整理してきましたが、実はもう一段深いところに目を向けていただきたいと思っています。それは、緊張や不安の感じ方そのものが、体のコンディションによって大きく変わるという事実です。
吃音は脳の言語機能や自律神経の働きと深く関わっていると考えられています。緊張すると交感神経が優位になり、声帯や口周りの筋肉が過度に緊張しやすくなります。これは意志の力だけではコントロールしにくい、体の反応です。
だからこそ「頑張って話そう」と意識するほど、逆に言葉が出づらくなってしまうという悪循環が起きやすいのです。
当院では、姿勢や呼吸の浅さが自律神経の乱れとつながっているケースを数多く見てきました。体の緊張が緩むと、話すときの過度な身構えも自然と和らいでいくことがあります。
伝えるべきかどうかを考える前に、まず自分の体がどれだけ緊張を溜め込んでいるのかを知ることも、判断の助けになるはずです。
ひとりで抱え込む前にできること
誰にも相談できずに一人で抱え込んでいると、不安はどんどん大きくなっていきます。家族や友人に話すだけでも気持ちが軽くなることがありますし、専門家に相談することで「自分だけではなかった」と安心できる方も多いです。
まずは小さな一歩として、今の状況を誰かに言葉にしてみることから始めてみてください。
まとめ:迷っているなら、まず自分の体と心に目を向けてみて
職場に吃音を伝えるべきかどうかは、あなたの仕事内容や職場の雰囲気、そして今の心身の状態によって答えが変わってきます。どちらが正しいということはなく、大切なのはあなた自身が納得できる選択をすることです。
ただ、判断がつかずに何日も何週間も悩み続けているとしたら、それはまず心と体の負担を軽くすることから始めるタイミングなのかもしれません。
私は長年、緊張や不安から来る心身の不調と向き合ってきました。体の緊張が和らぐことで、話すことへの不安そのものが軽くなっていく方をたくさん見てきました。
伝えるかどうかで悩んでいるあなたも、まずはその悩みを一人で抱え込まずに、どうぞお気軽にご相談ください。
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