「うちの子、最近ことばが詰まることが増えてきた…」「自分でも気になっているけど、これって吃音なの?」そんな思いを抱えていませんか。吃音という言葉は知っていても、吃音の種類には「連発・伸発・難発」という3つのタイプがあることを、くわしく知っている方は意外と少ないんです。
この3つの違いを正しく理解するだけで、「今、何が起きているのか」がはっきり見えてきます。原因や対処法を探すうえでも、まず症状の名前と中身を知ることがとても大切です。


吃音は「脳と自律神経」の深いつながりがある症状です。緊張や不安が引き金になることが多く、体の状態を整えることが改善への近道になることも少なくありません。ぜひ最後までお読みください
吃音の3つの種類を知っていますか?
吃音とは、ことばを滑らかに話すことができない状態のことです。「なんとなく話しにくい」だけでなく、実は症状のパターンによって大きく3つのタイプに分けられています。これを知っておくだけで、今起きていることが整理できて、気持ちが少しラクになる方もたくさんいらっしゃいます。
日本では約100万人以上が吃音に悩んでいるといわれており、決して珍しいことではありません。子どもだけの問題でもなく、大人になってから気になり始める方も多くいます。まずは「どんな種類があるのか」をいっしょに確認していきましょう。
連発(れんぱつ)とは
連発とは、ことばの最初の音を何度も繰り返してしまうタイプです。「こ、こ、こんにちは」「わ、わ、わたしは」というように、同じ音が続いて出てしまいます。
幼児期に多く見られるのがこのタイプで、2〜5歳ごろに始まることが多いとされています。本人は「言おうとしているのに止まらない」という感覚を持っていることが多く、焦れば焦るほど繰り返しが増えてしまうことがあります。
親御さんから「急に同じことばを繰り返すようになった」と相談を受けるケースがとても多いのもこの連発です。2〜3か月ほど経過を見ても改善しない場合や、子ども本人が話すことを嫌がるようになってきた場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。
伸発(しんぱつ)とは
伸発とは、ことばの最初の音を必要以上に引き伸ばしてしまうタイプです。「あーーーのね」「きーーーのう」というように、音が長く伸びてしまいます。
連発と並んでよく見られる症状で、どちらか一方だけが出る方もいれば、連発と伸発の両方が混在して出る方もいます。本人は「ことばが引っかかっている感じ」と表現することが多く、聞いている側も「何か言いたいことがあるのかな」と感じやすい症状です。
伸発が出やすい場面として多いのが、緊張する状況や人前で話すときです。学校での発表、会議での発言、初対面の人との会話など、「がんばって話さなければ」と思うほど症状が出やすくなるのが吃音の特徴のひとつです。
難発(なんぱつ)とは
難発とは、ことばを出そうとした瞬間に声そのものが出てこなくなってしまうタイプです。「…っ、おはようございます」のように、最初の音がどうしても出せず、口が固まってしまうような状態です。「ブロック」とも呼ばれます。
3つのなかでも本人の苦しさが最も強く出やすいのがこの難発です。「声が出ないのに口だけ動いている」「何も言えないまま時間だけが過ぎていく」という感覚は、想像以上に精神的な消耗を引き起こします。
難発は特定のことば(名前を名乗る、電話で第一声を出すなど)で起きやすい傾向があります。苦手なことばを避けるために言い回しを変えたり、電話を極力避けるようになったりと、日常生活への影響が大きくなりやすいのもこの難発の特徴です。
3つの症状はどう違うのか、一目でわかる整理
連発・伸発・難発の3タイプは、それぞれ出方が異なりますが、根本には「ことばをスムーズに出せない」という共通の困りごとがあります。以下の表で違いを整理してみましょう。
| 種類 | 発話の特徴 | 具体的なイメージ |
|---|---|---|
| 連発 | 最初の音を繰り返す | 「こ、こ、こんにちは」 |
| 伸発 | 最初の音を引き伸ばす | 「あーーのね」 |
| 難発 | 音が出ずに詰まる(ブロック) | 「…っ、おはよう」 |
この3つはそれぞれ独立して現れることもありますが、ひとりの方が複数のタイプを持っていることも多くあります。また、年齢や状況によって症状の出方が変わることもあります。
吃音に伴う「随伴症状」も知っておこう
吃音の症状はことばの出方だけにとどまりません。ことばが詰まる瞬間に、体にも無意識の反応が出てくることがあります。これを「随伴症状(ずいはんしょうじょう)」といいます。吃音をより深く理解するうえで、ここも大切なポイントです。
体に出やすい随伴症状
ことばが出にくい瞬間に、まばたきを繰り返したり、顔をしかめたり、首を振るなどの動作が出ることがあります。これは本人が意識してやっているのではなく、「なんとかことばを出そう」とする体の反応が形になったものです。
また、話す前に深く息を吸う、肩に力が入る、手をぎゅっと握るなど、人によってそれぞれ異なる随伴症状が見られます。これらの動作が習慣化してしまうと、ことばが出たとしても体の緊張がなかなか抜けないという悪循環につながることもあります。
心に出やすい随伴症状
「また詰まるかもしれない」という予期不安から、人前で話すことを避けるようになることがあります。電話を取らない、発表の場を避ける、自己紹介が怖くなるといった行動変化が起きやすくなります。
こうした回避行動が積み重なると、社会的な場面での自信が失われていきます。吃音そのものより、「話すことへの恐怖心や自己否定感」のほうが生活の質を下げてしまうケースも少なくありません。
吃音はなぜ起きるのか
吃音の原因についてはまだ完全に解明されていない部分がありますが、現在の研究では遺伝的な要因や脳の発話処理の仕組みが関係しているとされています。「親のしつけが原因」「緊張しやすい性格のせい」というのは誤解であり、本人や家族のせいではありません。
発達性吃音と獲得性吃音
吃音は大きく2種類に分けられます。ひとつは子どものころ(多くは2〜5歳ごろ)から始まる「発達性吃音」で、吃音全体の約9割を占めるといわれています。もうひとつは、脳卒中や頭部外傷などの後遺症として大人になってから現れる「獲得性吃音」です。
発達性吃音の場合、小学校入学前後に自然に軽快するケースも多くありますが、そのまま成人まで続く方もいます。早い段階で適切なサポートを受けることで、症状との向き合い方が大きく変わってきます。
自律神経との深いつながり
吃音が悪化するのは、緊張・不安・焦りといった場面であることが多いです。これはまさに自律神経、なかでも交感神経が過緊張した状態と重なります。リラックスしているとき(歌を歌う、ひとりで話す)は症状が出にくいという方が多いのも、このことと関係しています。
体と脳の緊張状態を整えることが、吃音の症状の安定につながる可能性があります。薬や言語訓練だけでなく、自律神経のバランスを取り戻すアプローチが注目されているのはそのためです。
子どもの吃音、親はどう対応するといい?
「子どもに吃音が出たとき、親はどうすればいいのか」というのは、多くの保護者の方が悩まれる点です。まず大前提として、ことばを繰り返しているからといって「ちゃんと言って」「ゆっくり話して」と指摘することは避けてほしいのです。
子どもは親の反応をとても敏感に感じ取ります。話すたびに訂正されると「自分の話し方はおかしいんだ」という意識が育ち、話すこと自体を怖いと感じるようになってしまいます。それよりも、ことばが詰まっていても最後まで聴き、話してくれたことに「うん、うん」と穏やかに反応することのほうが、長い目で見てずっと大切です。
家庭の雰囲気がおだやかで、子どもが「何を話しても受け入れてもらえる」と感じられることが、吃音の症状を安定させることにもつながります。焦らず、でも見守り続けることが、親にできる最大のサポートです。
大人の吃音、仕事や人間関係への影響
大人になっても吃音が続いている方は、特に仕事の場面で苦労することが多いです。電話応対、会議でのプレゼン、初対面の方への挨拶、職場での自己紹介など、「絶対に話さなければいけない」場面ほど症状が出やすいのは、多くの当事者が経験していることです。
「また詰まったらどうしよう」という不安が先に来て、話す前からすでに体が緊張してしまう。そのサイクルをくり返すうちに、話すこと自体がストレスになってしまうことがあります。吃音を「話し方の問題」としてだけ見るのではなく、精神的な負荷や自律神経の乱れという観点から見直すことも、改善のヒントになります。
どんなときに専門家に相談すべきか
吃音は自然に改善するケースもありますが、症状が続いたり、本人が強いつらさを感じている場合は専門家に相談することをおすすめします。以下のようなサインがある場合は、一度見てもらうことを考えてみてください。
- 症状が半年以上続いている
- 話すことを強く嫌がるようになった(子どもの場合)
- 随伴症状(まばたき・顔のゆがみなど)が出るようになった
- 特定の場面や特定のことばで強くブロックがかかる
- 吃音が原因で仕事や人間関係に支障が出ている
相談先としては言語聴覚士、小児科、神経内科などが一般的ですが、体の緊張や自律神経の乱れという観点からアプローチするカイロプラクティックや整体との組み合わせが、改善の助けになることもあります。
「これくらいで相談してもいいのかな」と遠慮する必要はまったくありません。早く相談したほうが、早く楽になれます。
吃音と自律神経の関係、改善のカギはここにある
当院に相談に来られる方のなかにも、吃音とあわせて「緊張しやすい」「眠れない」「疲れが取れない」といった自律神経の乱れを訴える方が少なくありません。話す場面での緊張が体全体に影響を与えていることも多く、逆に自律神経のバランスが整うと、発話の安定につながることがあります。
脳と神経のつながりを大切にした施術を続けてきた経験から、「吃音だから言語の訓練だけ」ではなく、体と脳と心の状態をトータルで見ることが大切だと強く感じています。ことばが詰まるのは、心と体からのサインでもあるのです。
ひとりで「なんとかしなきゃ」と抱え込まないでください。気になることがあれば、どんな小さなことでも相談していただけたらと思います。当院では吃音に直接アプローチするというよりも、体の緊張を解放し、自律神経を整えることで話しやすい状態へ導くことを大切にしています。一人で悩まず、いつでも気軽に声をかけてください。
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