話そうとすると言葉が出てこない。会議で急に声が詰まる。電話口で自分の名前がうまく言えない。そんな経験が突然始まって、「自分はどうしてしまったんだろう」と戸惑っている方、いませんか。
大人になってから起こる吃音(どもり)は、決して珍しいことではありません。ストレスや疲労、環境の変化をきっかけに、誰にでも起こりうる症状です。
このページでは、なぜ大人が急にどもり始めるのか、その背景にある体のメカニズムと、どう向き合っていけばいいかをお伝えしていきます。


急にどもるようになって不安な気持ち、よくわかります。実はこれ、脳や自律神経のバランスが関係していることが多いんです。一緒に考えていきましょう
大人の吃音には2つのタイプがある
吃音というと「子どものもの」というイメージを持つ方が多いかもしれません。でも実際には、大人になってから初めて発症するケースも少なくありません。まずは吃音のタイプを知ることが、正しく向き合うための第一歩になります。
子どもの頃から続く「発達性吃音」
幼い頃から言葉に詰まりやすい傾向があり、大人になっても続いているタイプです。成長とともに自然に軽くなることもありますが、緊張やプレッシャーがかかる場面で再び強くなることがあります。
就職や転職、昇進などの環境変化をきっかけに「また出てきた」と感じる方がこのタイプに多く見られます。
大人になってから始まる「獲得性吃音」
子どもの頃にはまったくどもりがなかったのに、大人になってから突然症状が出始めるのがこのタイプです。原因はいくつかに分けられます。
ひとつは脳や神経系へのダメージによるもの。脳梗塞や頭部外傷などが引き金になることがあります。そしてもうひとつが、ストレスや心理的な負荷による「心因性」のものです。実はこちらのほうが、日常的に多く見られるタイプです。
なぜ急にどもり始めるのか?その仕組みを知ろう
「急に」というのがポイントです。昨日まで普通に話せていたのに、今日から急に言葉が出なくなる。これにはちゃんとした体のメカニズムがあります。言葉というのは、脳が「話す」という命令を出し、それが神経を通じて口や喉の筋肉に伝わって初めて出てくるものです。この流れのどこかに乱れが生じると、滑らかに話せなくなります。
ストレスが「話す回路」を乱す
強いストレスや不安が続くと、脳の働きが変わります。特に、感情を司る部分(大脳辺縁系)が過剰に反応するようになり、言葉を生み出す言語野の働きに干渉してしまうことがあります。
その結果として起こるのが、「頭では言いたいことが分かっているのに、口が動かない」という吃音の典型的な症状です。これは意志の弱さでも、精神的な問題でもありません。脳の機能的なブレーキがかかっている状態なのです。
自律神経の乱れが引き金になる
ストレスが続くと、自律神経のバランスが崩れます。本来であれば、緊張する場面では交感神経が優位になり、落ち着く場面では副交感神経がしっかり働くというバランスが保たれています。
ところが慢性的なストレスや睡眠不足、過労などが重なると、このスイッチがうまく切り替わらなくなります。交感神経が常に優位な「緊張状態」が続いてしまうと、喉や首まわりの筋肉が緊張し、呼吸が浅くなります。言葉を出すためには安定した呼吸と筋肉のコントロールが必要ですから、この状態では声が詰まりやすくなるのです。
「また詰まるかも」という恐怖が悪循環を生む
一度どもってしまうと、「また詰まるかもしれない」という不安が生まれます。この不安そのものが新たなストレスとなり、自律神経をさらに乱します。
この悪循環こそが、吃音を慢性化させる最大の要因のひとつです。怖いから避ける、避けるから症状が固定されていく。そのループに気づくことが、改善への大切な一歩になります。
こんな場面で出やすい、吃音のサイン
吃音は、すべての場面で均等に出るわけではありません。特定の状況でだけ強く出るという方も多くいます。自分に当てはまるものがないか、一度振り返ってみてください。
- 電話で名前を名乗るとき
- 会議やプレゼンなど人前で話すとき
- 初対面の人と話すとき
- 上司や目上の人と話すとき
- 急いでいるとき、時間のプレッシャーがあるとき
- 疲れているとき、睡眠不足のとき
逆に、家族や気の置けない友人との会話ではまったくどもらないという方も少なくありません。これは「心の状態」が言葉に直結していることを示しています。
急にどもり始めたときにまず考えてほしいこと
症状が突然始まったとき、多くの方は「自分はおかしくなってしまったのか」と焦ります。でも、まず深呼吸して、いくつかのことを冷静に振り返ってみてください。
生活の変化を振り返る
症状が出始めた時期の前後に、何か大きな変化はありましたか。仕事の環境が変わった、人間関係で強いストレスを受けた、睡眠が乱れている、食生活が変わった。こうした変化が引き金になっていることは非常に多いのです。
原因に心当たりがあるなら、それはむしろ「改善のヒントがある」ということでもあります。
「治そうとしすぎない」という視点
吃音が気になりだすと、「うまく話さなければ」「絶対に詰まってはいけない」という意識が強くなりがちです。ところが、この「完璧に話そうとする力み」が、さらに症状を悪化させることがあるのです。
言葉は、リラックスしているときほど自然に出てきます。「多少詰まっても大丈夫」という余裕が生まれたとき、不思議と症状が和らぐことがあります。これは多くの方が経験していることです。
一人で抱え込まない
吃音のある方の多くが、「人に言えない」「恥ずかしい」という気持ちを抱えています。でも、隠せば隠すほどストレスは増し、症状は悪化しやすくなります。信頼できる人に話す、専門家に相談するということが、症状改善の大きな助けになります。
自律神経を整えることが、吃音改善の近道になる理由
ストレスや緊張が引き金になっている吃音の場合、根本にあるのは自律神経の乱れです。だとすれば、症状そのものを「矯正」しようとするよりも、自律神経のバランスを取り戻すアプローチが、長期的な改善につながりやすいと私は考えています。
呼吸を整えることから始める
呼吸は自律神経に直接影響を与えられる数少ない手段のひとつです。ゆっくりと深く息を吐くことで副交感神経が優位になり、体全体の緊張が和らぎます。特に、言葉を発する前に一拍置いてゆっくり息を整える習慣は、発話の安定にも直結します。
首・肩・頭の緊張を解放する
自律神経は脊髄を通って全身に枝を伸ばしています。特に頸椎(首の骨)の周辺には、自律神経に深く関係する神経の通り道があります。首や肩が長期間にわたって緊張していると、神経の伝達に影響が出ることがあります。
当院でも、吃音や声の詰まりを訴えて来院された方に対して、首・肩まわりの筋肉の緊張をほぐし、頸椎のアライメントを整えるアプローチを行っています。「声が出やすくなった」「詰まる頻度が減った」という声をいただくことも少なくありません。
脳の興奮状態をリセットする
慢性的なストレスにさらされた脳は、常に「戦闘モード」になっています。この過緊張状態を緩めることが、言語回路の正常化にもつながります。当院では、脳の働きに着目した独自のアプローチを取り入れており、体の調整を通じて脳のリセットを促していきます。
宝塚カイロプラクティックにできること
「吃音でカイロプラクティック?」と思った方もいるかもしれません。確かに、吃音に対して直接「矯正」をするわけではありません。ただ、自律神経の乱れ、首・肩の緊張、脳の過興奮状態といった吃音の背景にある問題に対して、体からアプローチすることは、症状の改善に十分に貢献できると考えています。
私自身、かつて体の不調で長年苦しんでいた経験があります。だからこそ、「原因のわからない不調」を抱えた方の気持ちが少しわかるつもりです。症状の名前にとらわれず、あなたの体全体を見て、何が起きているのかを一緒に考えていきたいと思っています。
急にどもり始めて不安を感じているなら、ひとりで悩まずにぜひ一度ご相談ください。話を聞かせていただくだけでも、何かヒントが見つかるかもしれません。宝塚で15年、延べ3万人以上の施術に携わってきた経験を、あなたのお役に立てたいと思っています。
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